胸部の痛みを放置すると

深呼吸や咳をした時に胸が痛む、寝返りで痛みが走る、胸の一部を押すと痛い。こうした胸部の痛みは、肋骨や胸郭まわりの異常から生じていることも少なくありません。
ただし、胸部の痛みには、心臓や肺、消化器などの内臓に関わる疾患が背景にある場合もあります。締めつけられるような痛み、動悸や息苦しさを伴う痛み、じっとしていても続く強い痛みなどは、まずは内科や循環器科の受診を優先してください。動作や姿勢によって痛みの強さが変わる、押すと痛い箇所がはっきりしているといった特徴があれば、整形外科で対応できる場合が多いです。
西宮のみやみつ整形外科リハビリクリニックでは、レントゲンや超音波検査(エコー)で胸郭まわりの状態を確認して、原因に応じた治療をご提案しています。判断に迷われる際は、まずご相談ください。
こんな症状はありませんか?
- 深呼吸や咳、くしゃみをすると胸に痛みが走る
- 寝返りを打つ時に、胸の一部が痛む
- 胸を強くぶつけた後から、痛みが引かない
- 胸の側面を押すと、決まった場所に痛みがある
- 背中から胸にかけて、帯状に痛みが走る
- 腕を大きく動かした時に、胸の付け根が痛む
- くしゃみをした瞬間、脇腹に強い痛みが出た
胸部の痛みで考えられる原因
胸部には、肋骨、胸骨、胸椎、それらをつなぐ関節、そして肋間神経など、多くの組織が含まれます。整形外科の分野では、これらの組織に生じたトラブルが痛みの原因となります。
肋骨の骨折
転倒や衝突による衝撃のほか、激しい咳を繰り返した際や、ゴルフのスイングなどでも生じることのある「疲労骨折」も考えられます。深呼吸や身体をひねる動作で強い痛みが出るのが特徴です。
肋軟骨炎
肋骨と胸骨をつなぐ「肋軟骨」に炎症が起きる状態です。胸の前面を押した時に決まった場所が痛み、深呼吸や身体をひねる動作で症状が強くなります。原因がはっきりしないことも多く、数週間から数ヶ月かけて自然に治まっていくケースがほとんどです。
肋間神経痛
肋骨に沿って走る「肋間神経」が刺激されて、胸から背中にかけて痛みが走る状態です。姿勢の悪さ、ストレス、疲労、帯状疱疹の後遺症など、様々な要因で生じます。
胸椎の圧迫骨折
背骨の胸の部分(胸椎)が、上下からの圧力でつぶれるように折れる骨折です。骨粗鬆症のあるご高齢の方に多く、しりもちや軽い衝撃でも起こることがあります。背中から胸にかけて痛みが広がる場合、この骨折が隠れていることがあります。
打撲·胸部の外傷
胸を強くぶつけた後の痛みは、皮下組織の損傷から生じている場合があります。ただし、内部の臓器や骨に影響が及んでいることもあるので、強い衝撃を受けた際は目立つ症状がなくても一度検査を受けておくことが大切です。
ご自宅でできるセルフケア
咳やくしゃみの衝撃を和らげる
肋骨や肋軟骨の炎症、骨折の疑いがある時期は、咳やくしゃみの衝撃が痛みを強めます。咳が出そうな時は、痛む側にクッションや腕を軽く当てて胸を支えると、揺れによる痛みを和らげられます。
深呼吸を無理に我慢しない
痛みを避けて浅い呼吸を続けていると、胸郭の動きが硬くなり、痛みが引いた後も違和感が残りやすくなります。痛みが落ち着いてきたら、少しずつゆっくりと深呼吸を挟んで、胸まわりの動きを保つように意識してください。
上半身をひねる動作を控える
身体をひねる、背中を反らす、重い物を持ち上げるといった動作は、胸郭に負担をかけます。急性期は、こうした動作を避けて安静を優先してください。振り返る動作も、腰から回すのではなく、身体全体で向きを変えるように工夫しましょう。
「冷やす」または「温める」
打撲や急な痛みが強い時期は、保冷剤で軽く冷やして炎症を抑えます。慢性的な痛みには、蒸しタオルや入浴で胸まわりを温めると良いでしょう。ただし、押すと強い痛みがある部位は、無理に温めずに様子を見てください。
姿勢の見直し
猫背や巻き肩の姿勢が続くと、胸郭が縮こまり、肋間神経への刺激が強まります。デスクワークの合間に胸を軽く開くように背筋を伸ばして、肩甲骨を寄せる動作を挟んでください。
避けていただきたいこと
胸に強い痛みがある時期に、市販の湿布や鎮痛薬だけで対応を続けることはおすすめしません。特に、胸部の痛みに息苦しさ、冷や汗、めまい、動悸を伴う場合、あるいは背中や左腕にまで痛みが広がる場合は、整形外科ではなく救急外来や循環器内科をすぐに受診してください。判断が難しい時ほど、自己流のケアは避けることが大切です。
セルフケアで改善しない時は受診を
以下のような場合には、放置せずに一度受診されることをおすすめします。
- 深呼吸や身体を動かす際の痛みが1週間以上続く
- 胸を打った後の痛みや腫れが引かない
- ご高齢の方が、しりもちや転倒の後から背中や胸の痛みを訴えている
- 特定の場所を押すと、決まった痛みが再現される
- 帯状に痛みが走る、しびれを伴う症状がある
胸部の痛みは、肋骨、胸椎、神経、そして内臓と、原因の候補が幅広い症状です。動作や姿勢で痛みが変わるタイプの症状であれば、整形外科での見立てが役立ちます。判断に迷われる場合も、まずはご相談ください。